令和6年能登半島地震で被災された方々へ
第6号記事 2024.01.19 避難先での口腔衛生管理
避難先での口腔衛生管理
避難先での生活のため落ち着かないことも多々あり、お口のことまでは、なかなか気が回らないというのが現実かもしれません。そうは言っても、口と歯は栄養摂取のためにとても重要な身体器官で、歯や歯肉の不調が原因でバランスの良い食事ができないと、全身の健康にも悪影響を及ぼします。むし歯、歯周炎(歯槽のうろう)は、ほとんどの場合、歯に付着している歯垢(しこう、プラーク)が原因です。したがって、避難先においても、できるだけ日々のブラッシング(歯みがき)をきちんと行い、歯垢を除去し、むし歯にも歯周病にもなりにくい口腔環境を維持することが重要です。上記に加え、避難生活で体力ならびに免疫の低下が懸念されるご高齢の方々においては、嚥下機能の低下と口腔内の不衛生が重複することによって、誤嚥性肺炎を発症する可能性があるという点も懸念事項となります。
まずはブラッシング(歯みがき)
口腔衛生を維持していくためには、ブラッシング(歯みがき)がたいへん重要です。単純なこととはいえ、避難先では、電気・ガス・水道等のライフラインの復旧が必ずしも十分でなく、飲み水の確保に苦労されている地域もあると思います。そのような場合には、歯磨剤(歯磨き粉)は使用せず、歯ブラシによるブラッシングのみで結構ですので、毎食後行ってください。もちろん歯間ブラシ、デンタルフロスも使用すればより清掃効果は上がります。ブラッシングの際に唾液が出てきますから、歯ブラシによって掻き落とされた食渣や歯垢は唾液と共に吐き出してください。
洗口液(マウスウォッシュ・うがい薬)の活用
避難先に支援物資として、洗口液(マウスウォッシュ・うがい薬)が届けられていれば、歯みがきの後に、それらを使用して、洗口・うがいをされることをお勧めします。洗口液・うがい薬には、水で薄める必要のないものも多数あります。そういったものがあれば、水不足の避難先でも口腔衛生状態の維持が十分可能です。さらには、歯磨きと洗口・うがいは、コロナウィルスやインフルエンザの感染予防にも、効果があったという報告もあります。
◆義歯(入れ歯)の手入れ
義歯を使用されている方もいると思います。水道が復旧すれば、今まで通り、義歯を洗浄することができるようになると思います。もし、義歯を洗浄するような余裕がない場合には、少々大雑把な方法ですが、義歯を入れたまま、洗口液でぶくぶくと口の中で義歯を洗うように、うがいをしてみてください。
※現在、歯ブラシや洗口液を取り扱っているメーカー、学術団体、歯科医師会からも口腔衛生関連の支援物資をお送りしていますので、口腔衛生管理のため、ぜひ御活用ください。
【参考文献】
五輪書 北京 「歯のコンディショニング」 財団法人日本オリンピック委員会偏.2012年発刊