日本臨床スポーツ医学会

理事長挨拶

学会活動を加速させましょう

理事長 山澤文裕

日本臨床スポーツ医学会
理事長 山澤文裕

令和5年(2023年)11月10日に、松本秀男前理事長の後を受け、一般社団法人日本臨床スポーツ医学会理事長(代表理事)を拝命いたしました。会員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

本学会は平成元年(1989年)に設立された日本臨床スポーツ医学会を前身とし、平成 26年(2014年)には「臨床スポーツ医学領域における研究の促進と情報交換を図り、スポーツ医学の進歩・普及とスポーツの発展に寄与し、国民の健康と福祉に貢献すること」を目的とし一般社団法人として認可されました。設立後30余年の間に、様々な競技の世界選手権大会等が毎年のように開催され、トップアスリートへのメディカルサポートやアンチ・ドーピング活動が求められるようになりました。競技団体からのニーズや国民のスポーツ医学への関心が高まり、内科、整形外科、外科、脳神経外科、産婦人科、精神科、リハビリテーション科、救急科、眼科、皮膚科、歯科口腔外科などの臨床スポーツ医学に造詣の深い医師を中心に本学会会員数は拡大し、理学療法士、アスレティックトレーナー、看護師、薬剤師などの参加も多く、現在会員数は約4700名に上っています。文字通り、スポーツ医学および臨床スポーツ医学の領域では、日本医学会のもとにある学術団体としてわが国最大のものです。

しかしながら、2019年12月に発生した新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、スポーツ活動の中断や国際大会の中止もあり、スポーツ現場でのメディカルサポート、臨床・研究活動は大きく制限されました。本学会学術集会もオンラインでの開催を余儀なくされました。また我が国のスポーツ医学レベルを一気に押し上げる絶好の機会であった東京オリンピック2020は1年間延期され、大幅な活動制限のもとで開催されました。もちろん、参加したアスリートは皆熱い戦いを繰り広げ、競技現場や選手村のメディカルスタッフはIOCや国際競技連盟の医事関係者と連携することができました。しかし、満足感、達成感を十分得られていないと思うのは、私一人だけではないと思います。

スポーツは人間が生きるうえでの能力を開発するものです。スポーツ医学はスポーツをする人間を支える能力を開発するもので、日常診療にも大変に役立つ医学領域です。本学会はスポーツや身体活動を活用して国民を、社会をより良い方向に変えていけるような発信や提案をしていくことが求められています。2023年5月より新型コロナウイルス感染症は感染症法上の5類に移行されました。この感染症がなくなることはないようですが、様々な制限が解除され、国際的な往来も自由になりました。今、まさに本学会の活動、会員の活動を活発にするときです。本学会活動の中心は何と言っても学術委員会であり、障害のあるなしにかかわらず、トップアスリートを対象とする競技スポーツ部会とともに国民全体を対象とする健康スポーツ部会の活動が期待されます。また、学会活性化のための将来構想を担当する委員会、国際委員会、教育研修委員会などを会員の皆様には積極的に活用していただきたいと思います。それらの成果を発表する機会が学術集会であり、会員の皆様へ様々な情報をお届けするのが広報委員会です。本学会を運営していく10人の委員長から就任の抱負、具体的な活動計画も提出されていますので、ぜひご覧ください。

スポーツ医学を取り巻く環境は大きく変化しています。社会のニーズに応え時代に合わせた取り組みを行い、会員に力を与える組織、様々な領域の関係者が会員に加わっていく持続可能な組織、にしていきたいと考えています。会員の皆様には今後とも、ご協力をお願いいたします。

最後に、会員の皆様のますます健康を祈念いたします。

(丸紅東京本社診療所所長)

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