日本臨床スポーツ医学会

学術委員会

委員長 鳥居 俊

学術委員会
委員長 鳥居 俊

学術委員会について

 学会とは「当該分野の学術研究の進展やその情報共有を目的に研究者を中心に運営される団体」とある。本学会の学術研究は広い分野にわたるが、本学会に必要とされる研究テーマを明確にして、その推進をバックアップすることが学術委員会の役割と考える。

 スポーツ医学は競技者に発生する医学的問題の解決や発生予防を目的として発生した経緯があるが、今や競技活動に参加しない全ての人々の健康のためにスポーツや身体活動のよりよい活用方法を提案することまで守備範囲となっている。また、従来、本学会員の大きな割合であった整形外科、内科のみならず、女性の健康を守備する婦人科、心の健康を守備する精神科をはじめとして医学の臨床各科において、スポーツや身体活動の活用を議論し日本人を対象にしたエビデンスを作成することが期待されている。一方、スポーツ医学の担い手としてアスレチックトレーナー、理学療法・作業療法士、看護師、管理栄養士などさまざまな医療関係職種や体育、養護教諭などの会員、準会員と連携した研究活動を進めていくことで、研究成果を現場に還元できる広がりを展開する必要がある。

 本学会は競技選手だけでなく、一般人、子ども、障害のある人も含めたすべての人を対象にしたスポーツ医学研究を推進することが必要であり、スポーツ基本法にあるようにすべての国民がスポーツや身体活動により健康で幸福になる機会が保障されるように環境整備が求められる。障害のある子どもや成人に対するスポーツ医学研究は少なく、現場での取り組みも不足している。これらについても本学会で学術研究として取り組んでいく必要がある。

 また、研究成果は学会内に留めていては国民に資することができないため、さまざまな形で発信していくことが望ましい。スポーツ医学研究の成果を全ての人々が享受できるように、広報委員会、研修委員会とともに発信と普及を行うことも任務である。従来の公開シンポジウムのみでは参加者の規模を考えると不足は否めないので、広く他の学会や団体との連携で発信普及を考えていきたい。

学術委員会の構成

 これまで、競技スポーツ部会、健康スポーツ部会の2部会体制で進めてきており、健康スポーツ部会では2023年度に新たな調査活動が予定されている。競技スポーツ部会は小委員会の再編成も提案されている。

 さらに、2023年度からは競技スポーツ部会、健康スポーツ部会の2部会に加えて、時限付きの特定テーマ研究部会を設置し、3部会での活動推進を図りたい。特定テーマは広く学会員の意見を募集し、その中から選択していきたい。

 構成員は本学会員を中心とするが、必要に応じて学会員以外の研究者や有識者に参加を依頼し、他の学会との連携を積極的に推奨したい。

(早稲田大学スポーツ科学学術院)

委員会構成

1. 競技スポーツ部会(部会長:中嶋耕平)

1-a)アンチ・ドーピング小委員会

委員長 渡部厚一(筑波大学)
委員
  • 蒲原一之、
  • 能瀬さやか、
  • 上東悦子、
  • 室伏由佳

1-b)調査研究小委員会

委員長 土肥美智子(立教大学、JOC)
委員
  • 武田秀樹、
  • 足利光平、
  • 武井聖良、
  • 渡邉耕太、
  • 貞升彩、
  • 松田貴雄、
  • 山口達也

1-c)大会医療小委員会

委員長 半谷美夏(国立スポーツ科学センター)
委員
  • 西野衆文、
  • 山口奈美、
  • 小松孝行、
  • 鈴木智之、
  • 金子晴香、
  • 松田貴雄、
  • 田中哲平、
  • 松原宗明、
  • 砂川憲彦、
  • 山口徹、
  • 李小由

2. 健康スポーツ部会(部会長:津下一代)

2-a)スタートダッシュ小委員会

委員長 鎌田浩史(筑波大学整形外科)
委員
  • 坂本優子、
  • 高田彬成、
  • 田中千晶、
  • 塚越祐太、
  • 友利杏奈、
  • 藤原清香、
  • 宮本由記
  • (五十音順)

2-b):サステナブル小委員会

委員長 津下一代(女子栄養大学)
委員
  • 小熊 祐子、
  • 武井聖良、
  • 辻 哲也、
  • 藤原清香、
  • 宮本由記

3. 特別部会(仮)(部会長:鳥居俊)

ミッション

1.競技スポーツ部会

1-a)アンチ・ドーピング委員会(委員長:渡部厚一)

活動目標 アンチ・ドーピングについて学術的視点から捉えることにより、アスリートの健康、健全な競技参加を支援・推進する。
活動内容 国内外のアンチ・ドーピング関連情報の収集から学術的評価を行いつつ、特に医師に向けた情報の発信・周知を図る.具体的にはアンチ・ドーピングQ&Aの内容の更新と、動画啓発資料の作成を検討していく。

1-b)調査研究小委員会(委員長:土肥美智子)

活動目標 社会的、環境的な視点でアスリートの健康、健全な競技参加を支援・推進する.
活動内容 「スポーツ競技における多様性への取り組み」をテーマとして、アスリートを取り巻く、さまざまな課題解決に取り組む。具体的には
  • ①競技参加における性の多様性への取り組みとして、日本人アスリートの性ホルモン基準値の検証を実施し、正当かつ公平な競技運営への貢献を目指す。並行して基準値を大きく外れたケースに対する適切なフローを確立し、必要に応じて提言を行う。
  • ②現役を引退したトップアスリートの健康状態(内科/運動器)のや特性を経年的に調査し、健診項目としての運動器の評価の有用性について検討を行う。将来的には一般健康診断における運動器の評価項目とその判定基準、指導内容策定のための資料を作成する。

1-c)大会医療小委員会(委員長:半谷美夏)

活動目標 国内外の大会における医療活動を支援する。
活動内容 スポーツドクターを中心とした医療従事者が国内外で医療活動を実施する際に有用な情報を共有できるデータベースの作成を目指す。さらには診療集計を含めた共通のプラットフォームの作成について検討し、将来的なサーベイランスの基盤づくりを目指す。

2. 健康スポーツ部会

2-a)スタートダッシュ小委員会

活動目標 子どもたちの健康と運動機能に対するスポーツをはじめとする身体活動の重要性について国民に発信する。
活動内容
  • ①全国的アンケートを実施し、現状を把握する。スポーツ庁が行っている調査を踏まえて(スポーツ庁と連携し)、子どもたちの身体活動の重要性と、今後の対応につき議論する。
  • ②子どもたちの健康と運動機能に関する国際的な情報をレビューしまとめ、本邦における状況と比較しながら、あり方を検討する。

③国民に提言を発信する 2-b)サステナブル小委員会

活動目標 健康寿命の延伸に向けて、青壮年期、高齢期の運動・スポーツの重要性と安全確保についての調査等学術的活動をおこない、健康スポーツの普及を図る。
活動内容
  • ①多様なライフステージ・健康状態に応じた安全かつ効果的なスポーツの在り方について情報収集し、会員への周知を図る。主な対象は一般健常人、生活習慣病、フレイル、女性、障害者、がん等の有疾患者とする。
  • ②厚生労働省健康日本21(第三次)、健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023、スポーツ庁ライフパフォーマンスを高める運動などの新たな施策展開と呼応した取り組みをおこなう。
  • ③国民に健康スポーツ医学の見地から提言を発信する
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